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真継の腰から帯を引き抜くと、手首を掴んで一括りに結んだ。後ろ手ではないからさほど不自由では無いはずだが、それでも十分に不自由で、更には羞恥も与えられる。着物は押さえるものが無くなって、自然と左右にはだけた。陽に当たらない部分は白いのに、今はほんのりと色付いて見える。真継は必死に着物の前を取り繕おうとしていた。
「やっぱり白いな。でも…小さな傷がたくさんある」
肌の白さは変わらないのに、幼い頃、傷一つなく滑らかだった肌には、今や細かな傷跡が無数にある。その殆どは既に完治しよく見ないと分からない程度だが、中には五寸にもなりそうな大きな物もあった。
これらの傷は、真継が陰陽師として多くの妖と対峙し、時に命の危険もあっただろう事を物語る。
もしその時に、真継が命を落としていたらーーー…
想像して、心臓がギシギシと締め付けられた。もしそんな事になっていたら、俺は俺を殺したって足りないだろう。
変な想像するもんじゃねぇな…
「これからはあんまり身体に傷付けるなよ?」
傷に触れると、真継は身を捩って抵抗した。何故か少し切なそうな表情をしていて、傷に触れられるのを嫌がっているように見える。よほど酷い目にあったのだろうか……。勝手に真継を見捨てたくせに、その時に守ってやれなかった事に自責の念が湧く。身体に…とは言ったが、これからは、そんな事になる状況自体を避けさせたい。
「ここを弄ると好さそうにしてたよな」
嫌な想像を振り切りたくて、誤魔化すようにまだ柔らかい胸の粒に触れた。指先で軽く触れただけなのに、真継がヒクヒクと身体を震わせている。どうやら感度がイイのも相変わらずなようだ。
「んっ……あ、あ…さ、触らないで…」
「じきにヨクなる」
指の腹で押し潰し、グニグニと円を描くように捏ね回すと、そこは次第に膨れ上がった。白い肌の中で、そこだけ桃色の花を咲かせたように浮いて見える。小さな粒の中心の、僅かな窪みに爪を立てて引っ掻くと、真継の細い腰が跳ねた。
「ほらな。もう感じてるじゃねぇか」
「ちがっ…ら、藍堂っ……だめ…」
「だから…どうして駄目なのか言ってみろよ」
「……だって…わ、私っ…あ、あの頃と……ひッあぁッ…!」
言いかけたところで、指先に力を込めて胸の粒を潰した。語尾が小さな悲鳴になり、反射的な涙に瞳が濡れる。
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