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「オレにメリットがない。」
「あるじゃない!こんなカワイイ子と勉強できるという・・・」
「話にならんな。生憎とそんなに不自由してないんだカワイイ子とやらには。というわけでオヤスミ!」
「トシ君って仮進級だったよねぇ?」
「・・・」
「それって、要するに課題こなしながら今年は赤点取らないようにしないと留年するって事だよねぇ?」
「・・・・・・」
「で、どうせ今年も綱渡りの1年で、結局受験勉強どころじゃなくなるよねぇ?」
「・・・・・・・・・」
「そしたら、卒業出来たとしても18歳で、社会人として、この幸いにも大学のない町で一生終わっていくよねぇ?ううん。決して悪い事じゃないけどさ、、、トシ君の希望するとりあえず大学進学して22までハッピー1人暮らしってのはないよね??」
「何が言いたい?」
「簡単よ。私に英語教えてくれたら、他の科目は私が教えてあげる!そしたら、留年はもちろん回避できるし、大学だって国立目指せるかもよ?」
「オレは別に国立とか・・・目指してな・・・」
「国立の方が授業料安いから、お父さんとかお母さんも助かると思うけどなぁ・・・」
「・・・」
まぁ、確かにオレには、オレとは比べものにならないくらいデキル弟が2つ下にいる。
しかも、高校もオレがびびって受けなかったこの町1番の進学校に通っている。
オレが、金のかかる大学に行ったおかげで、弟が進学を断念するなんて、あまりに酷、、、
「仕方ないなぁ・ ・・言っておくけど、オレは英語以外は教えられないからな!!」
「OK、OK。むしろそれ以外は求めてないわよ!」
こうしてオレとアヤメは出会い、不本意ながら共に受験勉強をするようになってしまった。
思えば運命の歯車は、この時から、ゆっくりと廻り始めていたのかもしれない・・・
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