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「ようこそ、我が家へ」
壱達を中へと導いたシーフが言った。シーフの銀髪は腰辺りまで伸びている。艶やかな銀が、光によって輝いている。
「お元気そうでなりよりです」
壱の後ろで、弐が吐き気を抑えている。彼にとって、今日は厄日である。
「お互いにな…それで…」
来訪の理由を聞こうとした時、小走りする足音が聞こえた。だんだんと近付いてくる。
「シーフ、誰か来たんですか?」
部屋の扉を開けたのはマリアである。少し大人っぽくなっている。その体をシーツで包み、白い脚は若さらしい艶がある。
「「……ッ!」」
弐と参が同時にマリアから顔を背けた。シーツの下に、服を着ていない事に気付いたからである。壱は背けてはいないが、床を見つめて顔を上げない。
「マリア、とりあえず服を着てくれ」
シーフが苦笑しつつマリアに言った。
「シーフも着たらどうですか?」
からかうように言うと、マリアは姿を消した。どうやら寝室に向かうらしい。
「姉さん…」
六が思い当たったように小声で言った。シーフは上半身裸で、マリアに至っては全裸であった。それを考えると、一つだけ行き着く結論がある。
「抱いてて悪いか?」
六の小声に、シーフが聞いた。六は顔を赤くしつつ、首を振った。
「お熱いですね」
顔を上げた壱が言った。マリアの左手の薬指を見れば、結婚生活は順調のようである。
「まぁな…と、用件に移るか」
シーフが椅子に座った。二人分しかなく、もう一つはマリアの席だろう。
「その前に、服を着ていただけませんか?」
「…?何故だ?」
壱が双子を指さした。頬を赤らめたまま、顔を背けている。
「いささか、刺激がお強いようです」
「…そうみたいだな」
昔に比べ、シーフの体は筋肉質になっている。貴婦人が恥ずかしがるのも、仕方がない事である。
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