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――僅かに2、3本だけ。
緋色は異形から距離を取り、先の一撃が通路にヒビ一つ入れられ無かった事と、だからと言って直撃したくは無い事を確認し、
『随分気の早いことで…ま、話も早くて助かるけど。』
軽口を叩いて先程の様に床に両手をつく。
広がる波紋
生まれる光
そして
ズルリ…
『天に雷あれば地に業火あり』
…異形が出てきた時とそのまま同じに
『交わる時、灰に還さん』
緋と蒼、二つの刃が
『いでよ【龍炎雷虎】…ってまぁつまり、殺しあい希望。お互い様だろ?』
産まれた。
右手に握られたのは蒼い刃。
敢えて言えば『大きなナタ』という雰囲気だが、幅10センチ、刃渡り60センチ程度あるそれは、ナタと言うより長方形。
左手の緋い刃も同様に。こちらの方が少し太くて少し短い。
『…はいじょシマス』
異形が緋色の方を見て言った。
『談笑は楽しめそうに無いね。』
言って地を駆ける。
先に仕掛けるのは当然緋色。
逆手持ちの状態で、右下からすくいあげる一撃。
ぎちっ
破戒槌の威力の一撃を、しかし異形は左手一本で受け止める。
硬いな。
緋色は思った。
間を置かず、がら空きになった緋色の左肩を砕こうと、異形が右腕を振り上げる。
その時
虚空から―緋色の右側の空間から―出現した蒼い炎が、蒼い刃と異形の左手に収束し、焼いた。
爆音
発光
一瞬で炭になって崩れ落ちる異形の左手と、炎を纏う蒼い刃。
しかし異形は怯まない。振り上げた右手をそのまま振り降ろす。
が、その弩雷を緋色は踏み込んで避わす。
走る刃、左の一撃が異形の脇腹を捉える。
がっ
やはり刃は鈍い音を上げ異形の表面で止まるも、今度は緋い雷が襲う。
切り付けた対象に、一瞬間を置いて炎と雷撃の【追加エフェクト】を発動する―それが緋色の【武器】、双刃・龍炎雷虎の能力だ。
『…ィイぃぃぃィィ…』
それが異形の悲鳴なのか、金属が震える様な音が響き、異形がのけぞる。
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