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戦いは静かに終わった。 緋色はまず体を軽く払い、転がったバッグを拾うと、未だに茫然としている男に声をかける。 『無事か?』 『な…』 男の言葉は緋色の予想通りだった。 『何なんだここは…?い、今の化物は?花畑は何処にいった…?』 戸惑う男に緋色は、少しだけ憂いをおびた声で告げる。 『すまない。私は確かに【イレギュラー】だ。…説明が必要なら、話すけど?』 男は頼む、とだけ言った。 『…ここが【教会】って言われてる場所なのは当然知ってるよな?恐らく…アンタにとっては楽園の筈だが…間違い無いかい?』 緋色の問い。 『ああ。俺は…12年前、知人のつてで入った。…莫大な金を失ったが…話は確かで、食事も必要無い。望み通りの世界での暮らしをずっと続けてきた…だが、俺の知ってる【教会】はこんな所じゃ無い!俺は一面の花畑で、日の光を浴びて…』 それなんだが、と緋色が男の言葉を止めた。 『確かに普通に【ノーマル】として【教会】に入れば、望む世界での永遠の暮らしが手に入る。アンタが12年間そうしてきたように。』 けれど と緋色は間を置いた。 『その世界は【教会】に作られた虚像で…それは知ってるだろうが、実際は…こんな所だ。そして【イレギュラー】とは、【武器】の適正を持ち、直接ここに入る者達を指す。』 そう言うと、先程の様に右手を床につける。 波紋 光 手には蒼い刃が握られた。 『こんな風にね。もういつ頃の話か知らないが【イレギュラー】が出てきた頃、その目的はほとんどが略奪や殺戮だったららしい。 アンタの様に、自分の楽園で過ごす沢山の人間が殺された。 それで【教会】側も対抗策をとったんだ。【イレギュラー】が近付いたり、危害を加えようとすると、自動的に排除するガーディアンを全ての【ノーマル】に付けた。』 そこまで話し終えると、緋色は言葉を切った。 男は暫く惚けていたが、徐々に言葉の意味を理解する。 『………まさか…さっきの化物が…?』
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