PROLOGUE

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
I don't care as long as you are happy. (あなたが幸せでありさえすれば私はかまわない) そんな言葉なんて嘘だと、あの時ははっきり言っていた。 コンビニや飲食店に置かれているチャリティーボックス。 あれは酷く嫌悪した。 あんなのにお金を入れる人なんて、完全な偽善者なのだと。 そうじゃないか? あんなの人を救いたくて入れる奴ばかりじゃない。絶対にその奥にある「人を助けた」という感情を求めて入れているんだ。 誰だってそうだ。 金を入れた後、そう思わない人なんているのだろうか? 結局チャリティーボックスなんて、その気持ちを買うための道具でしかない。 …歪んだ心。 今は普通にそう思える。 だが、あの時は、それが当たり前だと感じていた。この考えが教科書に載っていると言わんばかりに。 私の歪んだ教科書にはこれ以外の事も沢山綴ってあった。 母親は家にいないものだ、とか。 ご飯は作るものじゃない、とか。 友情は壊れるものだ、とか。 …人間は人を裏切るものだ、とか… 荒んだ、荒んだ心だった。 充実した毎日を送っている今なら間違った教科書だと、言えるのだが。 あの壅塞しきった心では、その教科書は正しく、道標だった。 死んだ、目をしていた。 死にたかった。 そう思わせた中学生活を 私は 忘れる事ができない。 絶対 これからも 永遠に。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!