赤く染まるクロス

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赤く染まる肉の塊に拳を振り下ろし、また振り上げる。振り下ろし、また振り上げる。 既に物言わぬ屍となったそれを、俺はひたすらに殴った。 もはやそれは人間としての原型を留めてはいない。 それでも俺は殴り続けた。 体に鉛弾が食い込む感触も、体を流れる致死量を超える血も、何一つ俺を止めることは出来なかった。 俺はただ、命が尽きるその瞬間までそれを繰り返した。
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