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寒気も小康状態に入った3月上旬頃。
俺は朝から扉を乱暴に叩いていた。
近所迷惑など知ったことではない。
俺の目的は、ただこの扉の先にいる人物を学校に連れていく事なのだから、ご近所さんにどう思われようが気にしないのだ。
「おいコラ!さっさと出てこい!」
「うゅう…イや…DEATH…。」
「卒業式くらい出席しろって!
茜さんを見送ってやろうとか思わないのか!?」
「あっ君は…チサちゃんがいれば、どこにだって現れるんですから…別に……………ぐぅ…」
「だから寝るなー!!」
ガンガンガンガンガンガンガン
叩きすぎて手が痛い。
もう諦めかけたその刹那、勢いよくドアが開いた。
そこには、16歳にしては縮尺が明らかにおかしい低身長の女が一人。
糸のようにきめ細かくて白い長髪を揺らし、不機嫌そうな目つきで俺を見つめ…もとい睨んでいる。
「…………。」
「お…おはよう雪…。」
「…………。
魔法少女リリカ○なの○!
フェ○ト等身大抱き枕殴打!」
わけがわからん必殺技名を叫びつつ、雪は背中に隠していたでっかい抱き枕で俺の頭を殴った。
魔法少女なのに殴打とか、血生臭い感じがするよ…みたいなツッコミは、この際置いておこう。
そう。こいつこそ、俺の彼女である白石 雪。
アニメ、ゲーム、漫画大好き。根っからのヲタク。
腐女子彼女の白石 雪その人だ。
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