雪望

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雪望

ジワリと滲む雨、 プツリと切れた理性、 差し伸べるどの手にも、 潜める剃刀。 シットリ濡れた晴れ、 プツリと切った犠牲、 当然に侵す声、 潜めていた。 振り回した願いが、 切り裂いたから。 艶やかな黒髪が揺れて、 裸足で駆け抜ける灼熱の空。 ただ、胸一杯の雪を。 まとわり沈む義理、 なされるがままの愛、 繰り返す説教さえ、 俯く殺意。 ゲッソリ痩せた晴れ、 何処へも行けず、 すがり付けない弱さ、 誰のための犠牲。 誰にも声届かず、 消え去ったから…問う。 ありふれた環境に触れて、 少しずつ解けていく晴れ渡る空… 連れて… 艶のない白髪を囲み、 悲劇で片付ける根底の花火。 ただ、世界中に満たされぬ雪を…
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