現実主義者【リアリスト】は月に微笑む

迫る世界

今日もまた一日が終わる。

いつもと変わらない一日。

神丘鞍馬は下駄箱からスニーカーを取りだした。部活は今日休みなので、このまま一直線に家路に着くことになるが、それはそれで何か物足りない。

玄関を出て、空を見上げると怪しい雲行き。夕方から一雨来ると天気予報で知っていた鞍馬は、持参した透明のビニール傘を片手に、暇を潰しに近所のゲーセンに寄ることを決めた。

思えば、篠倉ルイの助言に従って一直線に家に帰れば、こんな悲劇にあう必要はなかったのだ。

そしてこのさり気無く何気ない決断が、彼の人生を左右することになろうとは、まだ誰も知るよしがなかったのだ。

今日もまた一日が終わる。

そして、『日常』が音を立てて崩れさる。