迫る世界

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「何がネクラマだ。だいたい俺は根暗でもなんでもないぞ」 客観的に見てその通りなのだ。比較的友達も多く、わりと喋るので根暗と称するには些か厳しい感じもする。 が、目の前のお気楽男はそんな分析に目もくれず、明るいオレンジ色に染めた自分の前髪を弄って、 「そんな反論無駄よ。お前はネクラマなの!」 そんな無茶苦茶な、と鞍馬は溜め息をついた。 この幼なじみは昔からこうだ。正論を突きつけるとムキになって途端に話をシャットアウトする。まぁ、10年近くの付き合いなのでもう慣れたが。 そんなツンツン頭の幼なじみと他愛もない話をする。 昨日の夕方にUFOを見た、と一誠が騒ぐと、持てる知識を総動員してそれを論破。 昨日右手から青い炎が出た、と一誠が自慢してくると、科学的見解を持ってそれを論破。 リアリストの鞍馬にとってオカルト話は嫌いなのだが、あまりにも一誠が瞳を輝かせて雄弁を奮うので、思わず本当じゃないのかと誤認してしまう。結局最後には強く否定するが。 いつもと変わらぬ会話。 だが今日は、よりによって今日この日に、一誠が持ってきた話のネタは、冗談で済まされないほどの事情になるのだった。
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