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「なんでも、【神道】の魔法宗教団体が攻めてくるらしいぜ?」
「………いつ?」
「今日」
「………………」
論破する為のカードを、一瞬で鞍馬は頭に描いた。
神や魔法や宗教。リアリストである彼にとって、この世で一番信じられないオカルト集団じゃないか。
いつもみたいに知恵を絞り否定するか、軽く笑い飛ばすか、鞍馬には数十もの対策があった。
だが―――、
いつものように冗談めいた一誠の両目が、面持ちが、まるで信じてくれと頼むように、鞍馬に異を唱えさせるのを拒むように、真剣味を帯びていた。
いつもの非現実的ストーリーにリアクションをとることもできず、正門をくぐり抜け校舎内に入った。
あれから一誠は口をつぐんでいる。その表情は明らかに後悔しているようだった。
「………なぁ、一誠?」
重い空気に耐えかねて、ついに鞍馬は切り出した。
「さっきのアレ、本当の話か?ただの冗談だろ?」
「―――んあ………当たり前だろ。流石の俺でも魔法なんて考えねぇよ」
少し間が空いて、一誠が答えた。
「そうか。一瞬本当のバカになったのかと思った」
「そんなわけねーよ!遅れっから早く行こうぜ」
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