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目が合った瞬間ー少年は目を見開き、スパンダムから逃げようと必死にもがき出した。
「おいっ動くなって!!絶対安静なんだぞ!」
「…ぐっ……」
両肩を掴みベッドに押し付ける。少年も痛みが酷かったのだろう。身体から力が抜けていった。
重い沈黙がしばらく続いた。しかし先に破ったのは少年の方だった。
「…だれ、も…ま…もれ、なか…た…」
スパンダムから顔を逸らし消え入りそうな声で呟く。ゆっくりと閉じられた瞳からは一筋の涙が伝った。
「…分かってたのか。行くのが遅れて悪かったな。だが…」
スパンダムは少年の涙を指で掬いながら言った。
「お前はこうして生きている。どうだ?俺と一緒に来ないか?」
少年はスパンダムの顔を見てとても驚いた表情をしたが、やがて僅かに顔を縦に振った。
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