必然的な出会い。

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「いいか、俺達は政府の役人だ。生きてる奴がいたら助ける。分かったらさっさと元に戻れ!」 「………」 もう限界だったのだろう。少年はスパンダムの言葉を聞くと、人へと形を変えながら屍の上へ倒れ込んだ。 駆け寄って少年を抱き上げたが、血の気の引いた青白い顔からは生気が感じられない。スパンダムは急いで船に戻ると、待機していた医療班へ少年を託した。 ―――― 船の中で出来る限りの治療を施し、現在(いま)に至る。彼以外の生存者は…見受けられなかった。 まだ、幼い。10歳にも満たないだろう。類稀なる殺しの才能は持っているが… (この細い腕の何処にあんな力があるんだろうな…) 先程の凄まじい惨状を思い出しながら頬を撫でる。すると少年がうっすらと目を開けた。
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