雨音と共に…

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「560円です。カバーはお付けしますか?」 「はい。お願いします」 俺は一枚の紙をレジの下から出すと文庫本に合わせて綺麗に折り、その紙を文庫本のカバーにして、文庫本を紙袋に入れる。 「40円のお釣りです。ありがとうございました」 紙袋とお釣りを手渡し、接客終了。 そう、俺は本屋のバイトをやっている。 本屋でのバイトはまぁまぁ楽しい。でも何故かトイレに行きたくなる事が多い。 「おい!優斗。上がっていいぞ」 俺に声を掛けてきたのはハゲの店長だ。 勘違いしていると思うけど頭がハゲじゃなくて名前がハゲ。波下と書いてハゲと読む。 でも本人も若干だがハゲている。 「あっそうそう。明日からバイト来なくていいぞ」 えっ!?まさか…クビ!? 確かに今日は遅刻してしまった。でも店長は笑って「次は遅刻すんなよ」って言ったのに…。 そんな泣きそうな俺の顔を見て店長は慌てて、 「明日から一週間、店の改装工事あるからバイトは休みって意味だよ」そう言った。
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