遠い夏の日

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「どうした?」 「うん。」 「・・・可愛かったな。」 「・・・うらやましいな。」 「え?」 「あんなに、ぎゅうぎゅうされて。本当に好かれてるだね。」 「いいよ。ほら。」 この瞬間、俺はこれっぽっちも下心がなかったって誓えるくらい純粋な気持ちで椿に向かって手を広げた。 「おいで。」 そのことが椿にも分かったのか簡単に頭を預けてきた。 「・・・ごめん。」 「何が。」 「・・別に。」 その後は、いつもと同じように話をして、携帯のアラームが鳴って別れた。 そのとき、アイツが何で謝ったのか、俺は今でも分からないんだ。 でも、きっとあのときからアイツはいろいろ背負ってて限界だったのかもしれない。 それに、俺はずっと気付かなかったんだ。
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