縛りつける思い

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「・・・え?」 「あたしと兄はすごく仲がよくてね。喧嘩した記憶は1度もないんだよ。兄は、昔から海外に興味があって、父親の跡を継ぐことを夢見てた。だからね、兄にとっては毎日学ぶお稽古事や経済学なんてすごく楽しい時間にすぎなかったの。」 「へぇ。」 「そんな兄とは別にあたしはすごく自由にのびのび暮らしてたけど、のびのび暮らしてたというよりも放置されてたんだ。」 「・・?」 「両親は、勉強もスポーツも習いごとも完璧にこなす兄ばかり見てた。私のことは忘れ去っていた。でもね、兄だけはあたしを可愛がってくれたから悲しくもなんともなかった。」 「でもね、中3の冬だけは違ったの。」
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