縛りつける思い

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「兄は、大学受験を終えたその足でこっちに向かっていたみたい。でもね、そのころは受験とお稽古事の試験も重なってて、すごく忙しかったの。夜中まで電気がついていたことは覚えてる。きっと疲れてたんでしょうね・・・。車にはねられたのよ。あたしのせいで。」 「・・椿?」 椿の顔は悔しそうに歪んでいた。 「その日はたまたま大雪でね。兄が倒れた周りには雪が赤く染まり花畑に眠っているようだったそうよ。」 「・・事故だったのか」 「うん。あたしのところに向かおうとしてはねられたことは、両親や親戚に伝わって延々と説教されたわ。“お前なんかの所に行かなければこんなことには・・”って。でも、そのとおりだと思うから。お兄ちゃんの命を、夢を、将来を奪ったのはあたしなの。」 「だから、あたしはお兄ちゃんの人生も背負わなきゃいけないんだ。」
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