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「結果は入賞で分かってるし、何をそんなに緊張するんだ?」
「冬夜に絵を見せること。」
「確かにずっと見せてくれなかったもんなぁ。」
「だって・・」
「入るぞ。」
椿の手を引いて絵を探す。
「どこだー。椿の絵・・」
俺の目に映ったのは、すごく色鮮やかな夕日の絵だった。
それは、俺らがいつも図書館から眺めるそれと全く同じもの。
俺は、言葉がでなかった。
「これは、あたしの感謝の気持ち。お兄ちゃんへの。冬夜への。」
「椿?」
「あたしがこんな色で描けるようになったのは、これまでも誰かに支えられて生きてきたことがよく分かったから。」
椿が俺の手を強く握る。
「これからは、あたしも誰かのために生きて・・2人分生きて、もっと人生を楽しむの。」
「うん。そうだな。」
「そのためには・・・側にいてね。」
きっと椿はこれからも後悔したり、いろんな呪縛に苦しむのだろう。
それが分かっている上で、自分の人生と向き合うって決めたんだ。
俺も、これから一緒に背負うって決めた以上、強くならなくちゃならないんだ。
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