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第一話葛城弼のケース~明けの瞳と宵の瞳~
物語や事件…
それは至って本質的には単純なものなのだろう
しかし、登場させられる一人ひとりは自分の役割以外を知ることは出来ない
そう…一人ひとりは何も知らないのだ
俺や俺の友人達
俺達を取り巻く人達と環境は何も知らない
俺もその一人だった。
最も…物語や事件の全貌を知るのは犯人や警察、探偵、推理好きな人、読み手ぐらいだろう
それは必然でもあり不公平でもある
しかし、今回だけは例外なのだろう
大空を模したような友人と友人の中のアノ男
この二人を廻る奇妙で不正で不条理な事態が互いにすれ違う
アノ男は言った。
「僕には主体が無いんだよ、葛城弼の中の閉じた可能性の概念に一番近いものだと思ってくれて構わないよ」
俺は弼から出てくる事の無い言葉に茫然としていた。
この話の始まりは先週に遡る
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