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鬼の一族
それは、少ない
その中で、人の血を含まない純血はほぼいなくなっていた
鬼というだけで、年を重ねる毎に子を成すことができなくなってきたのだ
子の生まれない種はいずれ消える
それは、世の中の理である
「今日は人が多いな」
「今日から祭ですからね」
世の中は言葉の通り、お祭り気分
夏の日差しが強くなりつつある本日
夏祭…よりは小さなものかもしれないが、活気ある街が更に活気づく祭が行われていた
「暑いは暑いけど、風鈴の音はいいですよねー」
そんな風鈴祭が行われている中、沖田の隊と斎藤の隊が巡察に出ていた
「如月、はぐれるなよ」
「小さいからなー」
『…わかっています』
奈津もやっと組織としての在り方に慣れてきた頃だった
「それじゃ、僕はこっちなので」
「はめを外すなよ」
「嫌ですねー。わかっていますよ」
斎藤と沖田が互いに言葉を交わし、二つの隊は逆の方へと足を進めた
いつも割と人通りの多い場所ではあったが、輪をかけて今日は多く、団体ではするすると進むのも困難だった
この祭は今日から、五日間行われる
「如月はこの祭は初めてか?」
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