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『頭だけでなく耳も悪いのか』
「お前…口の聞き方が分かっておらんようだな」
そう言い、芹沢は重たい腰を上げて奈津に近付いてきた
「ほぅ…よく見たら美しい顔をしておるようだな」
『言われる程大した顔はしていない』
あくまで反抗的な態度をとるようだ
威圧的な芹沢の視線を奈津は真っ直ぐ受け止め、反らすことなく睨むように見ている
「どうだ、儂のものになれば無礼は許してやろう」
『結構だ』
「芹沢さん、あんた…童相手に何を言ってんだ」
芹沢の後ろから現れた青年
長い黒髪を高く結び、見るからに厳しそうだ
その青年、土方歳三を見て奈津は目を見開いた
土方も奈津を見て、同じように目を見開き固まった
「あー、お前!」
「お、懐かしい顔だな」
「あぁ」
そのまた後ろから現れた三人組は紛れも無く奈津が江戸で会った三人組だった
「賭は俺らの勝ちだな」
茶髪の青年は永倉新八
髪は腰上まで伸びていたが、相変わらずどこか余裕そうだ
「俺の勘って、凄くない?!」
猫っ毛の少年は藤堂平助
短かった猫っ毛は今では高いところで結ばれる程伸びていた
「当たるもんだな」
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