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「は?」
「聞こえなかったか?土方、貴様がこの餓鬼を斬れと言ったのだ」
そう言って芹沢は刀をしまう
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。こんな童を斬れるわけ…」
「斬れと言っているのだ」
頑なに拒む土方
しかし、芹沢も引く気はないらしい
「あんな子供まで斬るなんて…」
「まるで鬼じゃ」
「壬生狼は噂通りの人斬り集団か」
建物の中でこそこそと話す、野次馬達
その一つの単語に奈津は反応した
『“鬼”?』
そう、“鬼”という単語に
「いや、こいつは新しい隊士なんすよ!」
「剣の腕も確かなんですって!」
「大分前に会った時にそれだったんで、今はもっと凄いかと」
懸命に奈津の補助をするのは、例の三人組
奈津と芹沢の間に入り込む
「お前なら壬生狼士組でもやっていけるから、話合わせろ」
「嫌なら、俺らのつてで辞めさせてやるから」
小さな声で奈津に囁く
奈津はそれが聞こえているのかいないのか…
その顔には笑みを浮かべていた
ちなみに奈津に背を向けていたため、三人には見えていない
『……そうだ、昔にこいつらと賭をしたものでな』
「賭?」
『また会えた時には、壬生狼に入隊するとな』
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