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「奈津…」
「?!…どうして、周殿が?」
「は?近藤さん、何言ってんだ?こいつは…」
「周殿は、お亡くなりになった上にっ」
『誰と間違っているのかは知らないが、私はそんな名ではない』
奈津は真っ直ぐと近藤を見上げていた
近藤は頭が真っ白になっていたが、奈津の瞳を見れば息を飲んだ
「こいつは如月奈津って言って…」
「そ…そうだったな」
一瞬だけだったが、奈津は同じ顔を先程も見た
奈津自身は、自分と似ている上に周りとは明らかに違う雰囲気を持っていた相手だったから驚いたのだが
その相手は今の近藤と同じ顔をしていた
『………』
例え、それが事実でも奈津は口に出さない
下手に介入してもいいことがないからだ
「周さんって誰なんすか?」
「まさか、近藤さんの…」
「おい、お前ら」
永倉だけはちゃんと分かっているようだ
近藤にとって、その人は大事であったこと
そして、もう既にこの世にはいないことに
「すまん…俺からは言えんのだ」
悲しそうな顔で笑う近藤
奈津以外の三人は申し訳なく思った
「それより如月くん。きみはいくつかね?」
『…13だ』
「…帰りなさい。親御さんの元へ」
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