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頭を竹刀で殴られたような顔を見せる。
「ま、待って下さいよ!!なんで私が…?!大体、女の子なんですよ?!普通は女中さんがするものじゃないんですか!?」
「アホかお前は。俺らと八木家の世話で忙しいのにこれ以上事を増やさせるな。あと、お前が女になれるいい機会だ」
口をぱくぱくさせる沖田を喉を鳴らし笑った。
そんな土方に呆れたのか、ため息をつき沖田は立ち上がると障子に向かって歩きだした。
「…総司…??」
「土方さんが言うなら引き受けますよ。彼女のお世話…。行ってきます…」
そういうと肩を落としながら部屋から出ていく。
近藤は少し心配そうに見つめていた。
「…あまり総司を責めるな…。奴は優しいだけだ…」
「……あぁ……知ってる…」
近藤に振り向く事なく、小さく呟いた。
温かい日差しとは逆に、気持ちは曇りとぼとぼと心がいる部屋へと向かう沖田。
あぁは言ったが、いざ女の子を目の前にするとさすがの沖田は体に力が入ってしまう。
邪心を払うように頭を左右に振り、障子を開く。
二、三人の女中に見守られいるにも関わらず、白米やみそ汁、漬物と焼き魚がある少し豪華な御膳を前に心はみそ汁にしか手をつけていなかった。
そんな姿に沖田は口をぽかんと開けて見ていた。
「沖田はん。どないされました??」
「……え??あ…いえ…彼女はどうしたのかと……」
一人の女中が話し掛けてきて、我に返った。
「あぁ…なんでも、すぐに出ていくので、お茶だけでいいと……。そんなわけにも行かないので、なんとか説得して…今やっとおみそ汁をすすって下はったんどす…」
「…後は私が引き受けますから、お仕事に戻って下さい。ありがとうございました」
苦笑いしながら女中に礼を言うと心を見た。
女中が出ていき、いきなり二人きりになるのはまずいなと思った沖田。
「えー…っと…精がつくものを食べないと、出て行った後も倒れてしまいますよ」
『……っ……』
そういって御膳に手を伸ばす沖田を見ては肩を強張らせ怯える。沖田は慌てて手を引っ込めた。さらに気まずい空気が日の光りが零れる部屋の中に漂う。
「えっと…近藤さんと一緒に土方さんに掛け合って、お兄さんが見つかるまで貴女を保護する事になりました」
『…平気です…すぐに出て行きますから……っ』
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