独りよりふたり

10/16
2477人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
    「今度はどうしたんですか。」  土方の出過ぎた反応にも慣れてきた凪は初めに比べ冷静だ。 「土方さん…?」  目を見開いたまま応答のない土方を机越しに覗き込む。 「あの、唇にご飯粒ついてます。」 「……う………」 「う?」 「美味ぇっ!!」  好物を前にして顔を輝かせる少年のような面持ちをする彼は、呆然とする凪に見つめられながら、あっという間に平らげた。  満足げに合掌した土方は凪へ意識を向ける。 「おい、食わねえのか。」  スプーンをオムライスに突き差したまま目をぱちくりさせていた凪は、ぽっと頬を染めた。 「何で赤くなるんだよ。」 「お、美味しいって……喜んでくれたので嬉しくって……。」 「初な奴だな。」  そう言って笑う土方に凪は照れながら微笑み返した。 「おむれいすとやら気に入った。近藤さん達にも食べさせてぇ。」 「ふふ。また今度作りますね!」  和やかな雰囲気に包まれた午後となった。  
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!