独りよりふたり

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     満足気に沢庵を頬張る土方がやけに幼く見え、「…可愛い…。」と凪は呟いてしまった。  機嫌良く口を動かしていた土方は緩んだ顔を引き締める。 「ご馳走さま。」 「あ、はい!……あの、美味しかったですか……?」  人に食事を作るなんて初めてで、料理がさほど得意ではない凪にとって至難であった。  恐る恐る伺う凪が小動物のように土方には見えた。 「――………。」  ――…何だ。この沸き起こる感覚…。  無性に土方の心の内にうずうずと何かが蠢いた。  心配そうに感想を心待ちにしている目の前の少女――…苛めたい…。  元々苛めっ子精神がある方ではないが、弱々しい凪に意地悪をしたくなった。  それは、土方に今まで言い寄ってきた女の類が凪とは全く正反対だからだろうか。  大して中身を知ろうとせず、整った外見を自分のものにしたいがため、近付く高慢な女が殆どであった。土方自身もそれを承知の上で情事を交わした。  だからか凪のような類が新鮮であった。 「――…お口に…合わなかったんですね……。」  無言の土方の返答を「不味かった。」と捉えた凪はしゅんと俯いた。  肩を落として片付けを始める姿が妙に可愛いらしい。 「…美味かった。」 「えっ!本当ですかっ?」 「あぁ。……特に沢庵が。」 「たくあんですか……。」  明るくした表情(カオ)を再び暗雲とさせた凪。  その切替えがつぼに入ったのか、土方は目を細めて口角を上げていた。  ――…こいつぁ面白えな。  土方は興味を示した。子兎のように白くて小さな少女に。  
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