独りよりふたり

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     ――…うーん。どうしようかな。  家事を終らした凪は壁に背を預けている土方を盗み見る。  絵になるような二枚目の土方は恐ろしく話かけ辛い。  沈黙が苦しくて凪はテレビのリモコンに手を伸ばした。 『わはははっ!』  たちまち部屋には、テレビから発せられる笑い声に包まれた。 「な、何事だぁっ!?」  慌てて鯉口を切った土方は、奇妙な“箱”を睨み付ける。 「こ、この箱……笑っていやがるっ!!」  物の怪か!?と抜刀しようとする土方を、今度は凪が慌てて止めに入る。 「お落着いて下さいっ!これはテレビと言っ………て刀は締まって下さいぃっ――……。」  お前も落ち着け。この場に誰かが居ればきっとそう突っ込むであろう。 「あのですね。これは物の怪ではなくテレビという電気家具です。」 「…昨日言っていたな……しかし中に小せぇ人がいるぞ…。」  画面に映る、某有名司会者を不審な目で睨む土方。 「本当にこの中にはいませんよ?電波によって画面に映し出されるんです。」 「…………。」  電波から知らない土方にとって、説明されても理解し難いものだ。  ――難儀な所に来ちまった…。  先程のように驚く事など元の時代ではそうそう無かった。  込み上げてくる郷愁に土方は溜め息ついた。 「帰りたいですよね……。」  代わりに気持ちを口にした凪の哀しげな声。 「でもごめんなさい…。私はどうにも出来ないです……。」  機械や科学の問題で時を越えたのではない。何らかの拍子でタイムスリップしてしまったのか。だとすれば、帰れる保障も無い。  
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