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話に夢中になっていたからか、時刻が昼を過ぎていると教えてくれたのは腹の虫であった。
「土方さん、お昼何がいいです?」
すっかり打ち解けた凪は浮き浮きとした様子で冷蔵庫を物色する。
普段は朝食と兼用のため昼食をとらない凪は、とりあえず土方の意見を聞く事にした。
「沢庵。それがあれば米だけでいい。」
「はぁ。」
予想外な要望に「たくあん好きなんだ……。」と呟きながら中を見渡す。
材料はある。沢庵も。
凪の目は遠慮がちに並ぶ卵に止まった。
――オムライスはどうかな。たくあんとは合わないけど……。
今朝炊いた米が残っていたのを思い出し、ケチャップやら材料を手にした。
「オムライスでいいですか?」
「おむれいす?」
「ええと……、オムライスと言うのは洋風の料理です。」
「良く判らんがそのおむ………なんじゃそりゃあ!!?」
突然声を荒げた土方は、凪が手にしている透明の容器に入った赤い物体を指差す。
「おめっ…それっ……血じゃあねぇかよ!!?」
「え、血?」
一瞬呆気にとられていた凪は土方が言う“血”とやらを見た。
「もしかしてこれの事ですか?」
確かに血に見えないこともないケチャップを見せて首を傾けた。
すると、あからさまに嫌悪した面持ちをする土方。
「……血を集めるのが趣味なのか……。」
「いや、断じて違いますから。」
異な事を言う土方をきっぱりと切り捨てると、凪は料理に取り掛かった。
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