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「これは……食い物か?」
「オムライスです。」
目の前に出された長細い形に黄色の物体・オムライスを土方はまじまじと観察していた。
「……沢庵といい…。この時代の食い物はすげぇ色をしてやがるな。」
「そうですか?あ、これで掬って食べて下さいね。」
スプーンを受け取った土方は、逆さに持ったり、硬さを計るように握ってみた。
「…変わった匙(サジ)だな。」
「スプーンって言うんですよ。」
「ほぉ……。」
土方は不思議そうにしながらも、凪の真似をして正確に握った。
「どうぞ召し上がって下さい!」
「戴きます……。」
二枚目が、ためらいつつもオムライスを掬う姿がなんとも可笑しく、可愛いく見える。
一口食べた土方は絶句した。
めいいっぱい目を開いたまま静止してしまった土方を、凪は心配そうに覗き込んだ。
「大丈夫ですか……。」
…この反応……さほど不味かったのだろうか。と、思い煩うのも束の間、土方の唇が細く戦慄き始める。
「な、なななんじゃこりゃあ!!」
又しても叫んだ土方。
――…冷静な人だと思ってたけど……。意外と反応大袈裟だな。
彼の雰囲気や面と対比すれば、誇張過ぎる程に思える反応。
土方の新たな一面を知る事ができ、凪は胸が満ちたりるのを感じた。
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