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「意地悪!」
手で顔を隠しながら言うと晃は服の裾で目元を丁寧に拭ってくれた。
「もう怒るなよ…」
さすがに今度は申し訳なさそうに言ってきて、私は渋々、頷く。
それからさすがに廊下はマズイだろと晃の2年の時の教室に入り、お互い、すぐ近くの机に腰を下ろす。
やっと落ち着いてお互いの顔を見ることができた。
久しぶりに見た晃の顔は当たり前だがすっかり大人の男の顔をしていた。
変にドキドキしてしまった私ははずかし紛れに
「なんか老けたね…」
思ってもいない言葉が溢れてしまう。
さすがの晃も少しムッとした顔をして「お前もな」―――売り言葉に買い言葉だとわかっていても私の気持ちは沈んでしまう。
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