第1章 罠
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「樹里、ちょっといい?」 30代前半で事務所を立ち上げた桜井社長。 長い黒髪をたばね、 スーツ姿の女社長があたしに耳打ちした。 「はい…」 他のレッスン生の冷たい視線を背中に感じながら、 桜井社長とスタジオを出る。 誰もいない廊下で 桜井社長は声をひそめて話し始めた。
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