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きっと誰もが最初に目を引くであろう、個性的なものを、城井先生はいつも首から下げている。
――蛍光灯の下、少し鈍い金色の輝きを放つ、黄銅の懐中時計。
それは、よほど大切なものなのか、生徒はおろか校長にですら、指一本触れさせないという。
確かに俺の周りで、触れようと目論む人はいるが、触れたと言う人は全くいない。
しかし、そんなに大切なものならば、人目につかない場所にしまえば良い。
“懐中”時計なのだから、ポケットにでもしまっておけば良いのではないだろうか――というのが、俺の持論。
どうして触れさせたくないのに、目立つところに身に付けるのか。
『ただのお洒落ですよ』
城井先生は、以前そう言っていた。
瀟洒な顔に、掴み所のない微笑みを浮かべて。
俺には、城井先生が何を考えているのか、さっぱり分からない。
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