失望

10/12
前へ
/153ページ
次へ
「で、その後どうなのよ?」 孝は冷えたビールジョッキを片手に真に聞いた。 季節は夏になり、夜になってもじっとり汗ばむ。 二人の入った居酒屋はクーラーが効いていたが、混雑した店内は熱気を帯びていた為冷えたビールがうまい。 真の恋話を肴に孝は二杯目を注文していた。 「それがなかなかうまく行かないんだよなぁ」 真は酒があまり飲めない。コーラを飲みながら答えた。 「なんで??電話やメールはしてるんでしょ?」 「うん。この前俺の会社、社員旅行でグアム行ったから、お土産の香水を渡そうと思って電話してみたんだけど」 「プレゼント攻撃かよ?はははっ」 「うるさい!」 「はいはい。で?」 「なんかうまくはぐらかされて会ってくれない」 「まじで?」 「うん。でもせっかく買って来たから渡すだけでもって思って、この前真美の会社行って仕事終わるまで待ってた」 「それストーカーぎりぎりだなぁ」 「うっ……」 「悪い悪いっ!で渡せたの?」 「他の人にあげればいいじゃんって言われた……」 「は?なにそれ!?」 「これってフラれたって事だよな?」 「うーん……まだ結論出すのは早いけど、それはかなりきまずいな」 「なんか真美、自分の会社に来られるのがすごく嫌みたい」 そこまで話すと真は肩を落とし、俯いてコーラを一口飲んだ。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加