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「こんにちは……」
力なく声を発したのはさちと呼ばれた女性。チラッと孝を見るとすぐ俯いてしまった。
「おいっす~なんか暗いな。どうした?」
孝の声は上擦った。なぜならば、このさちに秘かに想いを寄せていたからだ。
いや、孝は『秘かに』のつもりだったが、さちはもちろん周りの友人達は、孝のあまりにも分かりやすい態度で気付いていた。
「二人で??どうしたの?これからみんなでどっか行くとか?」
孝は思いがけないさちの登場に慌てた。またそれ以上に喜び、話す声は弾んでいた。
しかし次の真の一言で固まってしまう。
「あのな…俺たち付き合ってる……」
「えっ?」
孝はすぐには理解できずに、気の抜けた返事をしてしまった。
「孝ごめん……付き合ってるんだよ」
「は?嘘だろ!?」
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