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透き通るような蒼い空、その空には雲は一つもなく、一段とその美しい青を見ることができる。
晴天……まさにこのことを言うのだろう。
そして小鳥たちも木々に集い、鳴き声によるハーモニーを奏でていた。
だが地上ではそのようなことなど全く感じていない者達がいた。
ここはバハムート王城にある中庭。そこからは激しい剣戟の音が響いていた。
実力が拮抗しているのか、どちらも引けを取ることのない戦いを演じていた。
それを演じているのは男女の二人だ。
男の方は黒髪、そしてダークブラウンの瞳をしていて、漆黒の鎧に身を包み、表地は漆黒の、裏地は深紅のマントを着こんでいる。
また、兜の後頭部からは決して彼のものでないだろう腰まで淡い黄色い毛が、旋毛(つむじ)から少し離れたところで束ねられていた。
彼こそはこのバハムート王国の王国軍総司令官、ケン=バハムートだ。
彼は鎧と同じ色、漆黒の刀、『妖刀村正』で女性と一対一で戦っていた。
そして女性の方は緑がかった黒髪を側頭部でツインテールにし、瞳は髪と同じく緑色をしていて、少し薄めの茶色のデニムに白いインナー、そして真っ黒なジャケットを着込んでいる。
彼女はステラ。『ラグナ大陸』の出身ではなく、『シリウス大陸』からケンと一緒に来たケンの彼女である。
以前着ていた民族衣装のようなものはこちらには合わないということで仕方なく今の服を着こんでいる。
彼女の手には紅蓮に輝く刀、『徒桜』で彼に応戦している。
これで何度目なのだろうか?
ケンの刀とステラの刀が交わり、大きな金属音を出す。非常に耳障りな音だ。
だがそのようなことを一々気にしている暇など無い。
戦いに集中している今、それは単なる雑念でしかない。
気を抜けばすぐさま相手に敗北を喫するほど、凄まじい戦いなのだ。
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