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優輝はム~ッと頬を膨らませる。 「別に小林に言いに来たわけじゃないよ。俺はナツに言いに来たんだから!」 そう言いながら優輝は後ろから夏樹の首に抱きながら都と言い合いをする。 が、今の夏樹には2人の言い合いすら聞こえてはいなかった。 ――頭の思考回路が回らない。 ――声が出せない。 ――身体が動かない。 ――笑えない。 ただ分かるのは、胸の辺りが……とても………………重くて苦しい―――。 「ナツ!小林がいじめる!」 「あら、気のせいじゃなぁい?」 都はあきらかに嘘だと分かる態度でシレッと答える。 「気のせいじゃない!ナツもそう思うだろ!?」 「…」 「ナツ?」 「…あ……ごめん。何?」 先程から何も言わない夏樹の顔を2人の顔が覗き込む。 「どうした?顔色が悪いみたいだけど」 「そ、そんなことないよ」 「……そりゃぁ、可愛い弟が、どっかのバカの餌食になるって知って喜ぶ兄はいないわよねぇ?」 「どっかのバカって誰のことだよ!」 「あら。今イヌのようにキャンキャン吠えている美波君の他にいる?」 「イヌじゃない!それに餌食なんて失礼なこと言うな!俺は真剣なんだからなっ!」
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