756人が本棚に入れています
本棚に追加
2人は通過した矢に驚いく。
「うわぁ!?」
矢が当たった盾を持っていた兵がビックリして声を上げた。
「矢だと!?どこからそんなものが!?」
息を荒く吐きながら馬超は驚いた。
張飛も矢を見て関を振り返った。
「……………。」
張飛の視界に弓を構えた燎嵩が入った。
「あのガキ………。」
まんまと2人が止まった。
「劉備様、止まりました。」
燎嵩の声に我に返り馬超と張飛にそれぞれ使者を遣わした。
「馬超殿とお見受け致します。我が殿よりの言伝で御座います。」
使者は劉備の言葉を馬超に伝えた。
「日も暮れたゆえ、篝火を焚きたい。それまで2人の決着は待って貰いたい。互いに疲れているだろうから一息休み、改めて決着を着けては如何だろうか?」
馬超はその返答に答え兼ねていた。
確かにこれ以上は戦いにはならない。
何度もぶつかり合い疲れもあるが、先程の矢で気概が逸れてしまっている。
と、その時だった。
「わぁったよ!しつけぇな、一回いやぁわかんだよ。帰るって、兄者の言伝なんだからよ、戻るって。」
デカい声で使者に言っていた。
使者も必死に張飛に言っていたようだ。
馬超も張飛の言葉に決めたようだった。
「あい分かった。一端引こう。」
「有難うございます。」
使者も承諾を得て関へ戻って行った。
馬超は軍を率いてその場から引いていった。
「燎嵩、君は凄いな。まるで黄忠殿みたいだ。」
劉備は燎嵩に向かいそう言った。
黄忠に例えられたのは嬉しい。だが、弓の腕はやはり適わないと思う。
弓の黄忠・黄忠老いても尚盛ん。
70過ぎても現役で、関羽と一戦繰り広げ、あの定軍山で夏候淵を黄忠と厳顔の老将コンビで討ち取ったのだ。
凄いジジイコンビである。
「俺の弓など誉められたものではありません。」
爺ちゃんや親父によく叱られる。
もっと的を見なさい。
弓を引く力を調節しながら矢を打ちなさい。
難しいのだ簡単にいかない。
「何を言う、2人を止めた。凄いものだ。」
誉められたのは何年ぶりだろう。
燎嵩は熱いものが一瞬こみ上げた。
だが体が宙に浮いた。
「!?」
ヌッと張飛の顔が現れた。何だか怒っている風だった。
「クソガキがぁちゃちゃ入れやがってぇ。」
襟首をつまみ上げられ宙吊りになった形だ。
「すみません。」
素直に謝った。この場合あーだこーだ言ったらこじれてしまいかねない。なら先に謝っておくほうが無難である。
「ふん!いい腕してんじゃねぇかよ。」
燎嵩を下ろし、頭をワシワシ
最初のコメントを投稿しよう!