第壱章/義勇軍

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2人は通過した矢に驚いく。 「うわぁ!?」 矢が当たった盾を持っていた兵がビックリして声を上げた。 「矢だと!?どこからそんなものが!?」 息を荒く吐きながら馬超は驚いた。 張飛も矢を見て関を振り返った。 「……………。」 張飛の視界に弓を構えた燎嵩が入った。 「あのガキ………。」 まんまと2人が止まった。 「劉備様、止まりました。」 燎嵩の声に我に返り馬超と張飛にそれぞれ使者を遣わした。 「馬超殿とお見受け致します。我が殿よりの言伝で御座います。」 使者は劉備の言葉を馬超に伝えた。 「日も暮れたゆえ、篝火を焚きたい。それまで2人の決着は待って貰いたい。互いに疲れているだろうから一息休み、改めて決着を着けては如何だろうか?」 馬超はその返答に答え兼ねていた。 確かにこれ以上は戦いにはならない。 何度もぶつかり合い疲れもあるが、先程の矢で気概が逸れてしまっている。 と、その時だった。 「わぁったよ!しつけぇな、一回いやぁわかんだよ。帰るって、兄者の言伝なんだからよ、戻るって。」 デカい声で使者に言っていた。 使者も必死に張飛に言っていたようだ。 馬超も張飛の言葉に決めたようだった。 「あい分かった。一端引こう。」 「有難うございます。」 使者も承諾を得て関へ戻って行った。 馬超は軍を率いてその場から引いていった。 「燎嵩、君は凄いな。まるで黄忠殿みたいだ。」 劉備は燎嵩に向かいそう言った。 黄忠に例えられたのは嬉しい。だが、弓の腕はやはり適わないと思う。 弓の黄忠・黄忠老いても尚盛ん。 70過ぎても現役で、関羽と一戦繰り広げ、あの定軍山で夏候淵を黄忠と厳顔の老将コンビで討ち取ったのだ。 凄いジジイコンビである。 「俺の弓など誉められたものではありません。」 爺ちゃんや親父によく叱られる。 もっと的を見なさい。 弓を引く力を調節しながら矢を打ちなさい。 難しいのだ簡単にいかない。 「何を言う、2人を止めた。凄いものだ。」 誉められたのは何年ぶりだろう。 燎嵩は熱いものが一瞬こみ上げた。 だが体が宙に浮いた。 「!?」 ヌッと張飛の顔が現れた。何だか怒っている風だった。 「クソガキがぁちゃちゃ入れやがってぇ。」 襟首をつまみ上げられ宙吊りになった形だ。 「すみません。」 素直に謝った。この場合あーだこーだ言ったらこじれてしまいかねない。なら先に謝っておくほうが無難である。 「ふん!いい腕してんじゃねぇかよ。」 燎嵩を下ろし、頭をワシワシ
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