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と撫でて何処かへ行ってしまった。
劉備はその風景を見て笑っていた。
ポカーンとなる。誉めてくれた。あの張飛が。
クシャクシャになった頭を今度は劉備が撫でていた。
「ボサボサだな。加減して撫でてやればよいものを。」
劉備と目が合い何故か互いに笑ってしまった。
居心地の良さに安心感がそこにあった。
劉備は日本人と何処か通じる所がある。
そう思えた。
だから日本人に劉備は受け入れられ、演義の通り正義と見えたのだろう。
篝火が焚かれ暗かった外と城内がオレンジ色に照らされる。
「さて、馬超殿には今宵お引き取り願おう。」
劉備がボソッと言った。
「再戦ではないのですか?」
思わず聞いてしまった。
怪訝な顔一つせずに劉備は答えてくれた。
「させてやりたいのは山々だが、このまま戦わせてもどちらかが死ぬまで戦い続けると思うのだよ。最悪2人を同時となる事も。張飛は私の義弟だ。失う訳にはいかない。だから馬超殿にはお引き取り願うのだよ。」
確かに劉備の考えに納得する。事実再戦は後回しになっているのだ。
だが………。
「張飛様が納得なさいますかね?」
「聞かぬだろうな。」
笑いながら言った。
笑う事ではない。納得しなければ馬超と再戦しにいく。
「どうであれ、戦わせるわけにはいかん。張飛には悪いとは思うがな。」
燎嵩に苦笑を見せながら劉備は張飛の下へ歩いて行った。
案の定張飛はやる気満々で関門を出ようとしていた。
「やる気満々ッスねぇ。」
遠目で見ていた燎嵩はボソッと漏らした。
何で一休みしただけで回復するのか驚く。
普通なら乳酸が肉体に溜まり、筋肉にも二酸化炭素が回る。
筋肉は痙攣し動く事さえ出来なくなるのだが、基本的な体力が違うのか、軽くストレッチをしていた。
「俺だったら動けないよなぁ。」
引きつり笑いが出てしまった。
張飛の後ろから劉備が声をかけた。
「張飛、夜になったから決着は明日にな。」
その言葉に張飛が烈火の如く反応した。
「何言ってんだよ兄者!?おりゃぁ行くぜ!バカにされっぱなしで終われるかってんだ!」
そんな熱い張飛に劉備は至極冷静に返す。
「ダメなもんはダメだから。」
張飛だけではなく周りの兵や燎嵩も止まってしまった。
鎮火。
「ええっ!?兄者ぁどうしてだよぉ!」
熱い張飛はさっきの冷静沈着な劉備に消火された。
張飛は必死に再戦を劉備に訴えている。
「アイツだってぜってぇ来るってぇ!兄者ぁ!」
それでも劉備は張飛に言った。
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