第壱章/義勇軍

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驚いていたが指を指して武器が置かれている場所を教えてくれた。 「有り難うございます!」 お礼を述べて弓矢を持って馬に向かって走った。 「えっ!?ちょ!馬も?!」 「この子も借りますねぇ。」 ヒョイと馬に跨り馬に歩くように指示し関門から出た。 「あ!!ちょ!待てっ!!」 「ちゃんと戻ってきますからぁ!待ってて下さいね。」 馬の脇を叩き走らせた。馬は指示通り走ってくれる。燎嵩が軽いせいか速度も出ている。 「どこ行ったんだろ。」 辺りを見ながら後を追う。 この馬の速度なら劉備には追い付けるだろう。 劉備は明らかにメタボな体型で体重もあるだろうから、馬にしてみれば重いはず。乗せてるのか乗せてないのか、あまり重さを感じない燎嵩を乗せた馬なら直ぐ追い付けるだろう。 矢が張飛を狙う。 その矢先に張飛が姿を表した。 「くぉらぁ馬超ぉぉ!!」 凄い形相で迫ってくる。 馬超が矢を放った。 ヒュッと風を切り張飛目掛けて迫る。 張飛は迫り来る矢を寸での所で身をかがめよけた。 「!?ちっ!」 馬超は槍を持ち突っ込んで来る張飛に身構える。 蛇矛が馬超目掛けて延びる。 槍を盾に蛇矛を受けた。 「捕らえたぜ馬超。なめくさりやがって。」 こめかみの血管がピクピク動いている。相当頭にきているのが分かった。 いざ再戦と2人身構えた時だった。 「ダメだ張飛!止めるのだ!」 劉備が止めに入った。だが、張飛は耳に入っているだろうが、決して止めようとしなかった。 それは馬超も同じ。2人は臨戦態勢になる。 「ああ、どうしたものだろう。このままでは。」 馬を止めて劉備は困り果てていた。 再度劉備は止めようと声を出そうとした。 が、劉備の横をヒュッと何かが横切り馬超目掛けて突っ込んでいった。 「?!」 馬超は間一髪で避ける。 タン!と音を立て木に飛んできた矢が刺さった。 「何っ!?」 馬超は流石に驚いた。 あの時の一騎打ちといい今といい、狙いに狂いがない腕に驚かされた。 「燎嵩!?お前どうして?!」 劉備が驚いていた。 馬超も張飛も劉備の方に視線を向ける。 そこには馬に乗ったまま弓を構えた燎嵩の姿があった。 「劉備様こそ、護衛もなく危険ですよ。」 「あ、そうだな。」 燎嵩の指摘に劉備は頭を掻いた。 天然なのだろうか。それとも無我夢中で今気付いただけなのだろうか、自分の身分を把握して行動して欲しいものだ。 「うぉいクソガキ!!まぁた邪魔しやがってぇ!!」 張飛の怒りの矛先が燎嵩に向けられる。
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