第壱章/義勇軍

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風貌は絵などで見る諸葛亮とあまり変わらない。臥龍―――。 「殿、この子が龍と?」 「うむ、馬超と張飛の一騎打ちの際決着がなかなか着かず両者共止める気配もなかったが、2人を止めたのが燎嵩の弓だ。見事な腕だった。」 得意気に話す劉備。諸葛亮は燎嵩を見る。 「しかし止めただけなら龍とは関係はないと思えますが。」 確かに諸葛亮の言う通り龍とは関係はない。 だが、劉備が燎嵩の胸を見せた。 「痣にしては龍が鮮やかにはっきりとこの胸にいる。天に飛翔する龍。このような痣、誰しもが持つものではあるまい。孔明。」 諸葛亮はマジマジと燎嵩の胸にいる龍を見る。 燎嵩すらいつの間に現れた痣なのか分からない。燎嵩自身タトゥとか彫る類いをする程性格が弾けているわけではない。 出来れば入れたくないのが本心。 「ふむ、確かに龍そのものです。」 「燎嵩はきっと天に遣わされた龍なのだよ。」 劉備は鼻息を荒くして言い切った。 燎嵩を龍だと信じて止まない劉備に燎嵩自身はいたたまれなくなる。 燎嵩は諸葛亮を見る。彼なら聞いてくれるだろうと思った。 諸葛亮に話して劉備達の誤解を解いて貰う。 劉備達も軍師の言う事なら素直に聞いてくれるだろう。 「殿、この子が龍ならば殿の大望叶うやもしれませんね。」 諸葛亮まで唖然とする事を言った。 「おお、やはりそう思うか!」 どんどん龍確定に走る。燎嵩は焦り始める。 「殿、それは後でまたお話するといたしましょう。今は馬超の事です。」 いきなり話題を変え温厚な表情からシビアな表情に変わった。 「ああ、馬超殿の事は聞いている。馬騰殿や兄弟、そして一族を含め曹操に殺されたと。生き残った馬超殿が今、我々に敵対しているのだ。張飛とぶつかった。」 劉備も諸葛亮にあった事を話す。 「私も馬超殿の事は聞き及んでおりますが、また張飛殿とぶつかるような事があれば互いにとっても良い事ではありません。殿にとっても。」 「私もそう思っておったのだ。が、如何にすれば良いのか思案にあぐねておったのだ。」 暗い面持ちになる。 諸葛亮は劉備に一案を提示した。 「私に一案がございます。馬超を味方に招き入れ殿の下に来させようと思うのです。」 劉備は流石に驚いた。 そして燎嵩を見る。 「こ、孔明。出来るのか?馬超殿を我が下に。」 諸葛亮は頷く。 「私が此処に来たのもその為です。馬超殿のお立場は孤立しておりましょう。周りを見ればどこも敵だらけ。
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