第壱章/義勇軍

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「なんでぇそりゃ。」 「武人は交渉だけで納得できますか?劉備軍に来て下さい。アナタを歓迎します。って言われてもほんの前まで敵対していた間柄ですよ?信じられます?」 張飛は燎嵩の言葉に首を振る。 「できるわきゃねぇだろ。信じられるか分かんねえのによ。」 「ガチでやり合って偽り無しを確かめなきゃ承諾できませんよねぇ。」 「当たり前じゃねぇか。」 「馬超様と張飛様。ガチンコでやり合った張飛様なら馬超様はどうです?共に戦ってもいい男とは思いません?。」 張飛に燎嵩は聞いた。 「うっ。確かに、強ぇし、根性あるしな。俺様相手に引かなかった。見所のある野郎だ。」 張飛がそう言うなら馬超は高評価されているのは確かだ。 「互いに蟠りありますよね?不完全燃焼の張飛様。馬超様が来られたら仲直りしてくださいね。」 「ちっめんどくせぇな。差しでやりあえりゃ早ぇ!」 「劉備様の大望がかかってるんですが?」 「…………。分かったよ。」 だいたいは李恢の交渉で馬超は劉備軍に下る。 だが互いのわだかまりも扶植して頂かないと始まらない。ガチンコされたら多分収集つかなくなる。馬超なら張飛の言葉に耳を傾けるだろう。 馬超が劉備軍に来る。 それは史実でも劉備軍にとっても大きなニュースであった。 李恢が馬超の元へ行き劉備軍との交渉が始まったのだった。 李恢は孔明の代わりに馬超の元へ行った。 劉備玄徳の書簡を持ち馬超の陣を訪れた。 「そなたが李恢殿か。劉備玄徳に頼まれて来たか。」 馬超が李恢に向かいそう言った。しかし李恢は飄々と返事をする。 「はい、その通りに御座います。が、正しくは劉備様ではありませんな。」 李恢は馬超を正視する。馬超に向かい驚く事を口にした。 「貴方様の父君、馬騰様に頼まれてが正しいでしょうな。」 「何だと?!父に?!バカな父は弟達と共に斬首され、この世にはおらぬ!嘘を申すな!!」 「そう、怒られますな。確かにお亡くなられましたが、息子の形振りを天にて黙って見ておられなくなったのでしょう。だから私が代わって参ったのです。」 馬超は李恢を睨み付ける。しかし屈しないのか李恢は話を続ける。 「馬超様、貴方様は勇ましくお強い。このままにしておくのは誠に勿体無い。だからこそ申します。劉備様お相手に戦をなさいますな。」 李恢の言葉に反論する。 「ここまで来て退けと?まだ私は何もしてはいないし、得てもいない!情けない!」 馬超は吐き捨てるように言った。
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