第壱章/義勇軍

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よく狩りなどではあるだろうが、よっぽど腕を鍛えねば獲物は仕留められない。 流鏑馬は高度な技術が必要な技であるのだ。 「馬超様に誉めて頂いて嬉しいです。」 照れながら喜んだ。 馬岱が何かを言おうとしたら、前の列の軍団にいた張飛が馬の速度を落として燎嵩の元まで下がってきた。 そして燎嵩の襟首をヒョイとつかみあげた。 「くぅおら!俺様も誉めたろうが。滅多に他人様なんざ誉めねぇこの張飛様が誉めたろうが。」 ―お子様だ。― 「もう!張飛様!!いっつもいっつもどーして襟首掴んで持ち上げるんですか!!」 張飛に猛抗議した。 馬の高さ+張飛の座高があるのでかなり高い位置に吊された形になっている。 「天下一の弓の名手様がお疲れになったらてぇへんだって事で俺様の馬に乗せたらぁ。」 答えになっていない。 「天下一の弓の名手は黄忠様でしょ!!」 「あれぇ?そうだっけぇ?」 ―すっとぼけやがった。― 「張飛、いい加減に燎嵩を下ろしてやらんか。乗せるか、下ろすか、どちらかにしなさい。」 劉備に叱られた。 さすがに兄者劉備に叱られたとあって張飛は燎嵩を自分の後ろに乗せた。 「落ちんじゃねぇぞ。」 コクコクと頷いた。 張飛は馬を自分の軍団まで進ませた。結局、歩いたのは少しで殆ど馬に乗って移動になった。 綿竹関に到着した。 「!?あれはっ!」 綿竹関に着いたはいいが、見た光景は戦いの最中といったものだった。 劉備が驚き声をあげてしまった。 「どうやら、綿竹関に攻め込んでいる模様ですね。」 諸葛亮が冷静に見ていた。 関から誰かが出てくる。 「あれは、趙雲では。」 馬に乗り劉備達を出迎えに来た。 「殿!」 「趙雲、何だあれは。」 敵を指差して聞いた。 趙雲は何事もなかったような感じでサラッと返答した。 「あれは、蜀の劉シュンと馬漢の2人に御座います。とんだ所をお見せしてしまいました。さ、城内へ。」 趙雲に促され綿竹関へ入っていった。 「サラッと言いましたね。攻め込まれているのに、何事も無いようにサラッと。」 張飛の後ろでボソッと言ったら、張飛が当たり前のように言った。 「あんな雑魚にいちいちうろたえてたら留守番なんか務まるかい。趙雲だぜ、何ともないだろうよ。」 ニヤニヤしていた。 中に入って馬から下り、城内奥に入っていく。 するとワイワイと賑やかな声が聞こえてくる。 「何か賑やかな声が。」 張飛に聞いてみた。すると張飛の輝いた目、破顔一笑の顔。一瞬でピンときた。
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