第壱章/義勇軍

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「趙雲、酒、酒っ!」 張飛は趙雲に寄っていった。 ―やっぱり。― 「さ、皆様どうぞ。酒、食事のご用意はできております。」 視界にたくさんの料理が並べられていた。 自分はどこに座ろうかとキョロキョロしていたら張飛にテイクアウトされていく。 脇に抱えられた状態で張飛の席に移動していく。 「おめぇは兄者の隣な。」 「えっ!?何で??」 ドカッと劉備の隣に下ろされた。 「いでっ!」 「おお、燎嵩。」 ニコニコ顔の劉備が隣にいた。 「……………。」 ―殿様の隣ってお偉いさん連中の席か奥方様の席だよなぁ。― 「隣って―――。」 「燎嵩はいいのだよ。そこに座っていなさい。」 勝手に席が決まっていた。つーか決定した。 「殿、よろしいでしょうか。」 趙雲が劉備の前にきて礼をした。 「どうしたのだ?」 「は、一時の中座をお許し願いたく。」 「どこかに行くのか?」 「は、暫しお外へ。」 ニコッと笑った。 諸葛亮も意図がわかったのか頷いていた。 「分かった。行ってよいぞ。」 劉備からの承諾が降りて趙雲は城外へ出ていった。 「………。外って、まさか……。」 劉備がニコッと答えた。 「趙雲なら直ぐ戻ってこよう、土産を持ってな。」 ―土産ってぇ劉シュンと馬漢の2人の生首じゃ~ん― 食欲削ぐような事を平気でする。 却って吐く。 燎嵩はブルーになる。 すると甲冑の擦れる音と互いがぶつかる音が聞こえてきた。 「失礼いたします!」 一礼をして入ってくる。 趙雲だった。 視線が自然に趙雲の手に向いていく。 ビンゴ。 趙雲の手にはさっきまで綿竹関に攻め入っていたあの劉シュンと馬漢の2人の生首があった。 ―うええっ― 気持ち悪いし、血がまだ生々しくて気色悪いし、表情がグロテスクだった。 「おっ!趙雲すげぇじゃねぇかよ!」 張飛が賞賛していた。 普段と変わらない。 「殿、宴の肴にどうぞ。」 劉備の前に差し出していた。 ―!!?うげぇぇ― 劉備はニコッとして頷いていた。 「いつもながら見事な腕前よ趙雲。」 賞賛していた。 ―食事の席にそんなもん置かないでよ!それに何誉めてんの?!気持ち悪い――!!― 血の気が引いていきそうだった。 より一層趙雲の土産に周りは盛り上がっていった。 「燎嵩?どうしたのだ?」 劉備が首を傾げていた。 「へ、平気なんですか?生首ですよ?」 「ははは、平気ではないが、この世の中では致し方ない。殺めなくて済む世に私は一刻も早くしたい。そうすればこうなる事はないだろう。」 しみじみ言う。
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