第壱章/義勇軍

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張飛程インパクトはない。 張飛の剛腕ぶりに馬岱は部隊を撤退させた。 張飛は逃げていく馬岱に向けて叫んでいた。 「帰って馬超に伝えろい!!張飛翼徳様が相手にしてやるってな!」 しっかしデカい声である。まぁ曹操軍を一喝して怯ませた程だ。 だが、何故馬岱がいるんだろうと考えてみる。 馬超に馬岱。 従兄弟同士で、馬岱の相手が張飛で、確かこの名前が出てくるのは西涼の馬騰だ。 父親馬騰、次男馬休、三男馬鉄、従兄弟の馬岱。 西涼の馬一族。 馬騰の嫡子が馬超だ。 その馬軍が張飛を相手にしている。 「あ、そうか。益州か。」 劉備が蜀の地益州を手に入れる為の戦いだ。 と、すると馬超は漢中の張魯の所に身を寄せている事になる。 曹操を亡き者にしようと立てた計画が露見し一族を殺され馬超と馬岱だけが生き残った。彼らは、韓遂と手を組み曹操に対抗していた。 苦戦を強いられていた曹操が取った策は離間の計であった。 曹操は韓遂に昔一緒に戦い馴染みである事を手紙に記し韓遂を落とそうとした。 曹操からの手紙の存在を知った馬超は2人が内通していると思い込んだ。 自分が疑われ、身の危険を感じた韓遂は曹操の下に下ったそうだ。 まんまと曹操の離間の計が成功したのだった。 馬超が漢中にいるのは、それらがかなり前だと言う事を意味する。 「馬超に馬岱か、スゴいな。」 馬超を見てみたいと思ってしまう。 ハタと我に返る。 自分の現状である。立派な家なし、金なし、ホームレスである。 「どーしよー。」 あまりの状態に思わずしゃがみ込んで憂いた。 どうやって生きていけばいいのか。 頭を抱える。 「て、言うか、何で俺がこの時代にいるの?」 三国志の本を読んでいて、いきなり本が光、気が付いたらここにいる。 理解に苦しむ。 タイムスリップってヤツかと思った。 だけど何故だろう。 答えなんて分かるわけない。 「うぉい!」 野太い声が上から降りてきた。 反射的に上に顔を向けるとデカい図体のヒゲおっさんがいた。 「……………。」 ジロッと睨まれた。 不審者だと思われても致し方ない。 「お前そこで何してやがる。」 襟首を掴まれ、ヒゲおっさんの前に宙ぶらりんになる。 「馬超ってヤツの手下かぁ?!」 ジロジロと見てくる。 「おい!何とか言え!」 あまりの事に声が出ず、思いっきり変わりに首を振った。 「あん?違うってのか?」 その返答に思い切り頷く。 ふぅ~んと言いジロジロ観察いていた。 「ま、小綺麗な身なりだしな。
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