少年

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木造建の一軒家。 全て木で造られた一階建てのその家は、築50年以上は経っている様に見えた。 戸は四枚で四枚とも木枠の中に四角いガラスがバランス良く縦に並んで填め込まれいてる。 ほぼガラス張りのその戸は、きっと閉めても家の中が見えるだろう。 屋根には横長の大きな看板がしっかりと立て掛けてあり、その看板には『しのみ屋』と大きく書かれている。 開いている戸から中を覗くと歩く隙間もないくらい駄菓子が一面に広がっていた。 駄菓子が広がる奥には段差があり、段差を上るとそこから先は障子戸で部屋が仕切られている。 障子戸の向こう側は生活空間になっているんだろうと予想出来た。 自宅が店の様な物だ。 店の中を見回してスゥ…っと息を吸った。 懐かしいニオイがする。 見回して見ると家の至る所にブリキのオモチャやひょっとこのお面が飾られている。 よく見ると壁にもいろんな物が吊り下がっている事に気付く。 吊り下げられている袋の一つに手を伸ばし触れてみた。 その袋には紐の先端にイチゴの形をした飴が沢山入っている。 古びたガラスケースの様な小さな冷蔵庫がウ゛ゥ~ン…と小さく音を立てて、水滴を垂らすのが目に入った。 中に入ってるラムネや瓶コーラを見て渇いている喉がゴクリ…と上下に動いた。 朱色の丸い蓋が付いているプラスチックケースには、旨そうな串カツフライや干しイカなどが入っていて、空腹だった腹がググゥ~…と音を立てて自己主張し始める。 無意識に干しイカの入ってるケースへと手が伸びた。 「一つ10円だよ。」 聞き覚えのある、しわがれた声。 振り向くとソコには、腰を90度近く前のめりにして佇む婆さんの姿があった。 手には魔女の様にゴツくて太い箒が握り締められている。 白い割烹着にもんぺ姿。 頭には白いタオルを被り、後ろでに結んでいる。 見るからにして田舎の婆さんって感じだ。
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