死神

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「お前は…お前は何だ? 何者だ…?」 「……さぁ?」 「死神…か…?」 「おじさんがそう思うなら…そうかも知れない。」 曖昧な言葉。 「…あの子が…コータって子が死ぬ…って言うのはどー言う意味だ?」 「コータは死ぬ運命なんだ。 タマゴは心。心は命。 タマゴが孵化しないと死ぬ」 「タマゴが生まれれば…死なない…?」 「………」 「お前が…お前があの子を殺すのか!? 何で!?まだ子供だ!」 「……子供も大人も関係ない。 寿命は誰にでもある物。 短いか長いかの違い。」 いつか人は死ぬ。 分かってる。 「…まだ…死ぬには若すぎる…」 息子を思い出していた。 顔も名前もハッキリとは思い出せないけど…感覚だけで息子を感じ思い出していた。 「…タマゴを貰ってくれる?」 「…それは!!」 「…っ…分かった…。 その代わり…その代わり記憶を返してくれ。」 「いいよ。」 少女はタマゴを途一の掌にゆっくり乗せた。 思った程タマゴは重くない。 「本当に…俺にしか育てられないのか…?」 途一の問い掛けに死神は一つ頷いた。 「7日以内。」 「え…?」 「7日以内にタマゴを孵化させる事が出来なかったらコータは死ぬ。」 「7日…? どうやって育てればいい?」 「タマゴはコータの心で成長する。」 「心…で成長?」 「おじさん…コータには常に死が付きまとっている事を忘れないで。」 そう言うと死神は途一の前から姿を消した。 ―死が付きまとう… それはどー言う事だろう? (タマゴを育てていれば死ぬ事はないんじゃ…ない…のか?) 「……あっ…記憶!! 死神!!記憶を返してくれる約束だったはずだ!」 『返したよ…』 少女の声がどこからともなく聞こえて来る。 (返した!?) 妻の名は… ―白城…美沙… 腰まであるロングヘアー… 目はたれ目で… あまり怒ったりしない気の弱い性格だった…。 「…そうだ…美沙だ…」 (…息子は…) ―息子は…? 「…ダメだ」 (思い出せない…) 妻の事は思い出せた… でも…息子の事は思い出せない。 相変わらず記憶の中の息子は黒い影のまま。 頭の霧が晴れない。
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