…二…

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「まったく!面倒な事になった!」 トシ・ハジマはヘルメットの中で小さく呟いた。 こんな事になるならミサイルを一発持ってくるんだった。 そんな事を考えながら、背後からの砲火を巧みにかわしつつ、スロットルを開き、一気に加速! 加速Gが身体を締め付ける。 いい反応だ! 高Gのかかる状況でありながら、わずかに自分の頬が緩むのを感じた。 瞬く間に、敵の有効攻撃範囲内にいる事を警告していたメッセージが次々と消えていく。 背後からの砲火が途切れる。 電子官制の火器は、この辺の諦めは早い。 さて、どうするか? 攻撃圏を離脱したのは、逃げる為ではない。 次なる攻撃への準備の為だ。 もとより対空駆逐艦程度恐れる必要などない。 ただし、面倒ではある。 仮にも艦艇だ。 相応の防御力を有している。 機載砲程度では一撃とはいかない。 何度か、反復攻撃をする必要がある。 現状の装備では仕方ないとはいえ、本来ならば 『格下』をなぶりものにするがごときは、プライドが許さない。 しかし、先に手を出されて逃げるがごときは、もっと許せない。 「先に手ぇ出したのは、そっちだぜぇ!?」 デブリを避けながら、機体を大きく反転させる。 視線の先、小さな白い点がある。 索敵システムの補助がなければ、周囲の星に紛れてしまう程に、弱々しく小さい『それ』が敵だ。 目標を正面にしっかり捉え、再度加速をかける! !? モニターに警告表示! 熱源の射出を確認。 その数、、十機。 モニターの表示が切り替わる。 熱源の拡大映像。 それは、敵の無人攻撃機だ。 確か『ファントマ』とか言ったか? 五機づつで編隊を組み、こちらに向かって来る。 「おもしろい!相手になってやる!!」 トシ・ハジマは不敵な笑みを浮かべた。
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