ウェリントン基地

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「『秘密の花園』、、、ですよ」 その単語に、タケルは一瞬、目を細めた。 「新種か?」 「えぇ『新種』の『栽培』を任されましてね」 「なるほど」 タケルは大きく頷いた。 ・・・・・・・・・・・ 「いらっしゃいませ!」 ウエイトレスの明るい声が店内に響く。 店内に入って来た人物を一目見るなりシンは、さっと目をそらした。 をぃをぃ! その様子はタケルの好奇心を大いに刺激した。 小柄な若い女だ。 何かを探しているのか、周囲をキョロキョロと見回している。 明るい茶色の髪はショート・ボブ 活動的な服装。 15、6才といった所か? よく見るとなかなかの美形だ。 惜しむべきは、パッチリし過ぎた目元だ。 愛らしいが、幼さが際立ってしまう。 しかし、二十歳位になれば相当な美人になる素質は充分あると見た。 シンは、学生時代から特に浮いた噂のなかった奴だったが、、。 成る程、、。 そーゆー趣味だったという訳か? 後輩の意外な一面の発見である。 「、、お前さん、、未成年に手ぇ出すのは、、マズイだろ?人として」 「誰がっ!いつ未成年に手ぇ出しまし、、っ!」 思わずシンが発した大声に少女が反応した。 振り向いた少女の視線が慌てて顔を背けようとしたシンを捉えた。 「見ぃつけたぁ!!」 店内の注目を集める叫び声を上げるや、タケル達のテーブル目指して、いつ走り出してもおかしくない速足で急速接近!! いかにも女の子女の子した外見に似合わない機敏な動きだ。 シンの手前、1メートル程で停止。 深呼吸一つ。 満面の笑顔。 いや、、目の奥が、、、笑っていない。 修羅場か? 修羅場が見れんのか? こんなイベントは、めったに見られるもんじゃない。 タケルは完全に観客モードに入った。 「こんな所で、、何をしていらしたんですか?」 先程とは、明らかに違う声量とトーン。 一見、真綿の柔らかさであるが、その奥には炭素結晶繊維辺りが入っていそうだ。 油断すれば、そのままサクッとやられそうな、独特の緊張感。 「なっ何って!何もしてませんって!」 何を言われても、こたえないはずの男が、うろたえている。 「な、、、何もしてないのに、悪い事をしたような言い方は止めて下さいよ」 少女は小首を傾げて、、ニコッと『笑った』
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