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俊彦は握手をするために右手を出した。するとこずえは、右手を制服で拭き、そっと右手を差し出した。
俊彦は、こずえの震えてる手から、こずえが緊張しているのを感じ取った。
俊彦
「こずえちゃん、そんなに緊張しなくていいよ」
こずえの顔は真っ赤になった。そんなこずえを見て、俊彦はかわいいと思った。
そこへ2年生の加藤直樹が話し掛けてきた。
加藤もまたなおみに憧れていた。
加藤
「やぁなおみちゃん。きてたの?」
なおみ
「あっ、加藤先輩。こんにちは」
加藤
「今日はお友達も一緒なんだ。俺の活躍見ててくれた?」
なおみ
「もちろんですよ」
加藤
「あっ、噂聞いたよ。大変だったね」
俊彦
「こらっ、加藤!なおみちゃん、そのことで悩んでるんだから」
加藤
「あっ、すみません」
なおみ
「いいよ、気にしてないから」
俊彦
「でも、先生もひどいよな。噂が収まるまで会うなって」
加藤
「えっ、そうなんですか?何考えてんだ、先生のやつ。文句言ってやる」
なおみ
「先輩、ありがとう。でも時間が解決してくれると思うから」
加藤
「強いんだな。惚れ直したよ」
なおみ
「じゃ、私たち、これで失礼します」
俊彦
「今日はありがとう。また見に来てくれよな」
こずえ
「はい。さよなら」
こずえはずっと俊彦のことを考えていた。
こずえ
「なおみ、私、橘先輩に告白しようかな」
なおみ
「えっ?…そう、決心した?よかったら私が仲を取り持ってあげようか?橘先輩とも知り合いだし。ねっ」
こずえ
「ありがとう。でも今だとテストが近いし、先輩にも迷惑かかるから、テストが終わってからにする」
なおみ
「うん。それがいいよ」
テストも終わり、こずえが決心してから数日後、いよいよ告白の時が迫ってきた。
こずえ
「な、なおみ、橘先輩のところ、ついて来て」
なおみ
「いいわよ。あっ、いよいよ渡すのね、ラブレター」
こずえ
「うん。受け取ってくれるかなぁ」
なおみ
「大丈夫よ、受け取ってくれるって」
こずえ
「だったらいいけど…」
昼休み、2人は俊彦のクラスへと向かった。
すると、何年生かわからないが、他にも俊彦にラブレターを渡している生徒がいた。
女生徒
「先輩、これ読んでください」
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